Human Playback初期設定-楽器固有の奏法
【このダイアログボックスを表示するには】
〔編集〕 > 〔環境設定〕 を選択して、〔Human Playback〕を選択します。
〔楽器固有の奏法〕 タブをクリックします。
または、
〔ウィンドウ〕 メニューから〔プレイバック・コントローラー〕 を選択します。
プレイバック・コントローラーにあるスピーカーアイコン ボタンをクリックします。
〔HP初期設定〕 をクリックします。
〔楽器固有の奏法〕 タブをクリックします。
【機能について】
ここでは、ピチカート、フラッタータンギングなどの奏法を定義し、カスタマイズします。また、この画面の設定を利用して、各サウンドライブラリやプレイバック機器の特徴を最大限に活かすことができます。例えば、同じ楽譜ファイルでGPOとソフトシンセの両方を使用する場合、各プレイバック機器の特性に応じてHuman Playbackの複数の奏法を使用できます。Native Instrumentの他のサウンドサンプルライブラリ(例:Garritan Personal Orchestra、Garritan Jazz & Big Band、EWQL)を組み合わせて使う場合も同様です。この画面の設定もHuman Playbackによる正確でリアルなプレイバックに反映されるので、様々なサウンドデバイスのメリットを最大限に活かすことができます。
このウィンドウは、選択可能な奏法を一覧表示しています。各定義項目は名前、動作の概要、適用するケース、奏法をオン/オフするチェックボックスで構成されています。いくつかの奏法ごとにグループ化されており、フォルダ名の隣の三角形をクリックすることにより表示の展開/折り畳みを切り替えます。奏法とフォルダをドラッグ&ドロップできますが、フォルダ内にフォルダを作成することはできません。
対象楽器 このドロップダウン には、サウンドライブラリで一般に使用できる特殊奏法を持つ楽器の種類と楽器名が表示されます。
奏法名 〔対象楽器〕ドロップダウン メニューで選択している項目によって〔奏法〕の内容が変わります。〔奏法〕には、選択した楽器の奏法の一覧が表示されます。選択した奏法は、アーティキュレーション、発想記号、変形図形、楽曲の前後の状況(例:孤立したフレーズ)などの楽譜表記によって有効になります。〔テキスト指定〕を選択した場合は、その奏法をトリガーする文字発想記号を〔適用するケース〕テキストボックスに入力します。
動作1・動作2・動作3 このドロップダウン メニューを使って、選択した奏法の特性(キースイッチ、コントローラーデータなど)を正確に指定できます。右にあるドロップダウン メニューとテキストボックスは、指定した動作の値を示します。選択した動作によって表示内容が異なります。選択する動作は、使用中のサウンドライブラリで利用可能な特性によって異なります。
適用するケース このドロップダウン メニューから選択することにより、選択した奏法についてさらにフィルタリングができます。テキストボックスには、特定の変数を入力します。例えば、プレイバックデバイスの名前に「GPO」が含まれているときだけ指定の奏法を適用する、といった使い方ができます。〔テキスト指定〕の文字発想記号を指定するときも、このフィールドを使います。
新規フォルダ 〔楽器固有の奏法〕ウィンドウに新しいフォルダを追加します。
新規の奏法 選択しているグループに、新しい奏法を追加します。
複製 このボタンをクリックすると、現在選択している奏法またはグループのコピーが作成されます。設定済みの奏法に少し変更を加えて別の奏法を作成したいときは、〔複製〕を使うと便利です。
削除 〔削除〕をクリックすると、現在選択している奏法が削除されます。
設定のしかた
奏法フォルダを展開表示して、編集する奏法をクリックして選択します。
ここでは、〔Garritan:弦楽器〕グループのピチカートを例に説明します。
一番上のポップアップメニューで楽器の種類を選択します。矢印をクリックすると楽器の種類または楽器名のリストが表示されます。
ここに表示されるのは楽器の完全な一覧ではありません。サンプルライブラリで一般に使用できる奏法を持つ楽器だけが表示されます。個々の楽器に対して類似の奏法が優先的に適用されることがあります。例えば「弦楽器」に対してピチカートを設定し、さらに「バイオリン」にもピチカートを設定した場合、バイオリンパートにはバイオリン用ピチカートが優先的に適用され、弦楽器用のピチカートは無視されます。
弦楽器で使用できる奏法は下図のリストのように表示されます。
動作が進むほど選択肢が少なくなります。この例では次のように表示されます。
右にあるドロップダウン メニューは、指定した動作の値を示します。選択した動作によって表示内容が異なります。最後のドロップダウン メニューでは、文字を指定してさらに精密にフィルタリングします。
最後のフィルターは特に重要です。この例では、名前に「Garritan」が含まれるスロット(MIDIセットアップで設定したVST 外部デバイス)にのみピチカートの設定が適用されます。別の例としてVienna Symphonic Library(Kontakt ソフトウェアに同梱)のKSサンプルViolin Ens 14(All X)を設定する場合、上記とは違った設定が必要です。対象楽器:バイオリン、キースイッチノートナンバー:18、コントローラー:CC#1、名前に「kontakt」が含まれるデバイス、のように設定します。
ソフトシンセ(General MIDI)のピチカート奏法の場合、
プログラム#46はソフトシンセまたは外部MIDIプレイバックにのみ適用されます。Human Playbackは利用可能な全プレイバックデバイス(VST 、ソフトシンセ、外部音源)を自動検索しますが、常にカスタマイズの選択の余地を残している点が重要です。
動作の種類
キースイッチの他に多くの項目があります。
コントローラー 2つのパラメータ(コントローラーナンバーと値)があります。コントローラーは音色を切り替えるときによく使われます。サウンドライブラリのコンテクストによって設定が異なります。
強弱変化:モジュレーション(01)… 強弱変化:ベロシティのみ これらの項目にはパラメータがありません。特定のボリュームコントロールをHuman Playbackに伝えるだけの働きをします。動作1の設定は「強弱変化」という奏法で使われます。文字列を使ったフィルタリングの設定によっては、一部のチャンネル、五線、デバイスでグローバル設定(Playback初期設定-強弱変化とボリューム を参照)が無効になり、ここでの設定が優先される場合があります。動作2と動作3の設定はピチカートで使われ、局所的にボリュームコントロールのタイプを指定します。類似の例としてティンパニのロールがあります。通常の叩く奏法はベロシティを使いますが、ロールには(EWQLSOでは)CC#1を使います。このため、同じ楽譜に両方の奏法が共存できていなければなりません。
チャンネル変更 は、MIDIチャンネルという1つのパラメータを持ちます。キースイッチの代わりにチャンネル変更を使ってサンプルを変更することができます。
五線指定のチャンネル 元の五線のチャンネルに戻ることを意味します。一般に、Ordinarioまたは標準の奏法を指定するときに使います。
チャンネル変更(相対指定) -16から+16の範囲のドロップダウンリストがあります。チャンネル番号の絶対値を使わないので便利に使えます。常に一貫した方法でサンプルを構成したいと考えるユーザーもいます(例:アルコ=#n、ピチカート=#n+1、トレモロ=#n+2)。
五線指定のパッチ パッチを使った(GM準拠の)サンプルを元の五線のパッチに戻します。
プログラムチェンジ…プログラムチェンジ、プログラムチェンジ この4つのオプションは、MIDIバンクおよびプログラムチェンジ情報を変更するためのパラメータです。
この他の動作として、音程を付加 (半音単位) (パーカッションロール用)、ピッチを固定 、発音範囲指定 、基準ボリュームがあります。
適用するケース
フィルタリングに使う文字列は、大文字小文字、スペースの有無、記号(ドット、ダッシュ、アクセント等)の有無を区別しません。複数の項目を指定する場合はコンマで区切ってください。
次の名前がデバイスに含まれている時・次の名前がライブラリ名(AriaまたはKontakt 2/3)に含まれている時・次の名前がデバイス/ライブラリに含まれている時・次の名前がデバイス名に含まれていない時・次の名前がパッチ名(AriaまたはKontakt 2/3)に含まれている時・次の名前が五線名に含まれている時 上の例でも見たように、デバイス名の設定元VST スロット、MIDIセットアップで指定したスロットなど、様々です。「SoftSynth」や「QuickTime」といった文字列が含まれている場合もあります。例えば「garritan」と入力すれば、「Garritan Instruments for Finale」、「Garritan Personal Orchestra」、「Garritan Jazz」などが抽出されます。同様に、パッチ名や五線名を対象に抽出することもできます。
次のMIDIチャンネルの時 「1-16, 20, 126」のように指定してチャンネル番号(1から始まる番号)でフィルタリングします。複数のチャンネル(またはチャンネル範囲)を指定する場合は、コンマで区切ってください。
ソフトシンセでのプレイバック時 ソフトシンセでプレイバックするときのみ適用されます。〔次のデバイス名でのプレイバック時〕に「softsynth」を入力しても同じ効果があります。
デフォルトの外部音源でのプレイバック時 MIDIセットアップダイアログボックス で指定した外部MIDIデバイスでプレイバックするときのみ適用されます。
ソフトシンセ/デフォルトの外部音源でのプレイバック時 ソフトシンセか外部音源(MIDIセットアップで指定)でプレイバックするときのみ適用されます。〔次のデバイス名でのプレイバック時〕に「softsynth, external」を入力しても同じ効果があります。
Human Playback初期設定-奏法の場合は「複数条件: 複数条件を使うと、複数の項目を一度に移動、複製、削除、編集できます。ライブラリ名(#library#)とパッチ名(#patch#)を指定してフィルタリングします。例えば「#library#FinaleGPO #patch#Viola KS」のように指定します。
文字発想記号に次のテキストが含まれる時 このオプションは、奏法として〔テキスト指定〕を選択したときにのみ表示されます。プレイバック定義されていない発想記号の中で追跡対象にする文字列を指定できます。例えばペンデレツキの奏法を設定したい場合、チャンネル#45、キースイッチC1をトリガーする“Behind the bridge”という文字発想記号を新規作成できます。複数の語句を指定する場合は「Behind the bridge, penderecki」のようにコンマで区切ってください。なお、発想記号に独自の効果を設定すると、Human Playbackが認識する定義済みの発想記号が無効になることがあるので注意してください。例えば、“pizz”という記号の挙動を変更するなどが可能です。
楽器別の奏法
持続音系楽器:
レガート(スラー) スラーまたは装飾音符があるとレガートが有効になります。GPOなどはCC#68を使ってレガートを表現しますが、専らパッチを使うサンプルライブラリもあります(EWQLのQLegato、ViennaのTrue Legatoなど)。
スタッカート 連続した短い音符(楽譜のスタッカート記号またはユーザーが設定したMIDIストップタイム値)に対してスタッカートが有効になります。「短い」かどうかはHuman Playbackが自動で判断します。
トリル 通常はHuman Playbackが仮想の音符としてトリルを生成しますが、サンプリング音によるトリルを収録したサンプルライブラリもあります。なお、サンプリング音のトリルは速度が固定されていることが多いので注意してください。リストで定義したサンプリング音のトリルは、厳密に単音のフレーズでのみ使われます。それ以外の場合は通常のHuman Playbackのトリルが使われます。
強弱変化 〔動作〕のモジュレーション(01)〜エクスプレッション(11)+ベロシティ、ベロシティと組み合わせて使います(動作の種類 を参照)。特定のデバイススロット、五線、またはMIDIチャンネルでグローバル設定(〔強弱変化とボリューム〕画面の持続音系楽器のコントローラー)が無効になり、ここでの設定が優先されることがあります。
ソロのフレーズ
アンサンブル・パッセージ
テキスト指定 機能は上記の通りです。
弦楽器の奏法:
弦楽器の奏法は数が多いため、Human Playbackの用語は学術的な語彙と必ずしも一致していません。どちらかというとサンプルライブラリを指向した用語を定義しています。
スピッカート Human Playbackでいうスピッカートとは、非常に短いスタッカートを意味します。楽譜に表記された記号、またはMIDIストップタイム値から短いスタッカートを識別します。
マルトレ(マルテラート) 強くアクセントのかかった、比較的短くスラーが付いていない音符を意味します。楽譜上の表記またはMIDIデータから判断します。
デタシェ 通常のアクセントがかかり、スラーが付いていない音符を上げ弓と下げ弓を交互に用いて演奏します。特別な表記は不要です。
トレモロ 不定音価のトレモロです。3つのマークから成るトレモロ記号(8分音符には2つ、16分音符には1つ)を表記します。
スル・ポンティチェロ (テキスト) ブリッジ近くで演奏します。Ordinarioタイプの発想記号で中止します。
スル・タスト(テキスト) (テキスト) 指板の近くで演奏します。Ordinarioタイプの発想記号で中止します。
フラウタンド(テキスト) 弓の先で弦に軽く触れるようにしてフルートに似た音色を出します。Ordinadioで中止します。
バルトーク・ピチカート スナップをきかせたピチカートです。Finaleでは図形を使ったアーティキュレーションで表記します。
コル・レーニョ 弓の棒の部分で演奏します。現在のHuman Playbackでは弓のコル・レーニョとストロークのコル・レーニョに違いはありませんが、文字列を使ったフィルタリングで区別できます。
ハーモニクス Human Playbackの通常のハーモニクスと組み合わせて使います。なお最新のHuman Playbackは、音符に表記された小さなo(開放弦を表すOではありません)を認識して自然なハーモニクスを演奏します。
サンプリング音があれば、次のように複数の奏法を混合することもできます。
弱音器付きトレモロ
弱音器付きポンティチェロ
弱音器付きトリル
例えば、Human Playbackがスル・ポンティチェロを認識すると、その前に弱音器があるかどうかを判断します。ただしこれは、「ポンティチェロ+弱音器」の組み合わせを定義した奏法が存在する場合に限ります。この奏法が定義されていなければ、通常の(弱音器なしの)ポンティチェロの設定が使われます。トレモロ、およびサンプリング音によるトリルでも同様に機能します。
木管楽器(サックスを含む)の奏法:
フラッター (弦楽器のトレモロに似た表記) Garritan Jazz and Big BandとGarritan Personal Orchestraでは違った方法でフラッタータンギングを演奏する点に注意してください(GPOはキースイッチ、JABBはCC#18を使用)。どちらもデフォルトの初期設定セットでサポートされています。
金管楽器の奏法:
カップミュート、ハーマンミュート、バケットミュート (テキスト)これらの奏法はJABBにあります。様々な文字表記で有効にできます。
参照:
Human Playback
Human Playback初期設定 // Human Playback初期設定ダイアログボックス
Human Playback初期設定-強弱変化とボリューム
Human Playback初期設定-MIDIデータ
Human Playback初期設定-グリッサンドとベンド
Human Playback初期設定-装飾記号とトレモロ
Human Playback初期設定-テンポ変化
Human Playback初期設定-Garritan独自の効果