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ドラムとパーカッション

ここでは、パーカッション楽器(ドラム、シンバル、トライアングルなど)を演奏するためのFinaleパーカッションマップの使い方は取り上げていません。Finaleパーカッションマップの使い方については、Finaleユーザーマニュアルのパーカッションをご参照ください。

なお、このセクションの説明は一般のパーカッション(一定の音程を持たない非楽音の打楽器)だけを対象にしています。楽音を発する打楽器(シロホン、アンティークシンバル、ティンパニなど)は標準の音部記号を使うので、パーカッションMIDIマップは不要です(他の楽器と同様に扱うことができます)。

Basic Orchestral Percussion

Garritan Instruments for FinaleとGPO製品版は、「Basic Orch Percussion」というパーカッション楽器を収録しています。Basic Orch Percussionはオーケストラ曲で一般に使われるパーカッション楽器の多くをカバーしています。Basic Orch Percussionを構成する楽器およびMIDIナンバーとピッチの一覧を次表に示します。

Garritan製品版に収録されている追加のパーカッション楽器

GPO製品版には、Basic Orch Percussionの他にパーカッション楽器がいくつか追加して収録されています。その中で特に有用なのがBass Drum KS(hand-dampenedとl.v.の間で切り替えるキースイッチ)、Percussion Toys(カウベル、シェーカー、タンバリンなどのセット)、Wind Machineです。

Note. Garritanのマニュアルは中央のC(MIDIノート#60)をC3としています(一般的には中央のCはC4です)。Finaleでは中央のCをC4としてピッチ名を表示しているので、GarritanとFinaleではピッチ名が一致していません。混乱を避けるため、このチュートリアルではFinaleの「中央C = C4」を採用しています(MIDIノート番号とピッチ名の対応表を参照)。したがって、ここに表示するピッチ名はGarritanのマニュアルと一致していないことになります。

GPO製品版に追加されているパーカッション楽器およびMIDIナンバーピッチ名の一覧を示します。

しかし、Basic Orch Percussionのバスドラムは、キースイッチなしで音価の長い音符も短い音符も適切に処理できます。Bass Drum KSより便利に感じられるかもしれません。

上記のほかに2種類の楽器(SnaresとCymbals)がありますが、この2つはBasic Orch Percussionに入っているスネアとシンバルと同じです。

JABBに収録されているドラムキットなどのパーカッション楽器とノート名の一覧は、JABBマニュアルの「付録B:ドラムマップ」をご参照ください。

パーカッションMIDIマップとGarritanインストゥルメント(新規ファイルを作成する場合)

GPOに収録されているBasic Orch Percussion楽器(またはGarritanが提供する別のパーカッション楽器)を五線の正しい位置に表示するには、その楽器で使用するパーカッションMIDIマップが必要になります。セットアップ・ウィザードから新規ファイルを作成した場合は、適切なパーカッションマップを使えるように自動で設定されます。例えば、セットアップ・ウィザードのパート選択画面で〔Basic Orch Percussion〕を選択すると、スコア・マネージャーでそのパーカッションMIDIマップが自動で選択されます。

GarritanインストゥルメントとHuman Playbackのトリル

GPOのBasic Orch Percussionのいくつかの楽器(バスドラム、サイドドラム、スネアドラム、サスペンドドラム)はサンプリング音(録音)によるロールが付属しています。Finale 2006のHuman Playbackでは、このようなサンプリング音によるロールを初期設定では使用していませんでした。代わりに、個々にトリガーされた音符を使ってHuman Playback独自のロールを生成していました。

Finale 2012では、Aria PlayerにBasic Orch Percussionを読み込んで使うとき、Human Playbackのロールの代わりに、サンプリング音によるパーカッションロールを最初から使用できるようになりました。GPO製品版を使用する楽譜でこの機能を利用するには、空きのバンクにGarritan Instruments for Finale版のBasic Orch Percussionを読み込み、GPO製品版でなくGPO Finale Edition版のパーカッション楽器を使う必要があります(もちろん、ロールを演奏しない他の楽器はGPO製品版のままでかまいません)。詳しくはチャンネルをご参照ください。

サンプリング音によるロールでなくHuman Playbackが生成したロールを使いたい場合は、〔Human Playbackの初期設定〕ダイアログボックスの〔楽器固有の奏法とその効果〕画面で〔この奏法を使用する〕をオフにする必要があります。下の例をご参照ください。

サンプリング音によるロールを無効にするには、〔バスドラム・ロール〕を選択して、〔この奏法を使用する〕のチェックマークを外します。同様に、〔スネアドラム・ロール〕、〔サイドドラム・ロール〕、〔シンバル・ロール1〕、〔シンバル・ロール2〕も〔この奏法を使用する〕をオフにします。

ドラムキットパートとJABB

Garritan Jazz and Big Band(JABB)には2種類のGeneral MIDI互換ドラムキット(GM Classic Drum Kit LiteとGM Fusion Drum Kit)が収録されています。作成済みの楽譜ファイルにGeneral MIDIドラムキットパートが含まれている場合は、この2種類のドラムキットのどちらかを使えば簡単に更新できます。つまり、対象パートにJABBのGeneral MIDI互換ドラムキットを割り当てるだけで、正しい音で再生されます。パーカッションMIDIマップを修正する必要はありません。また、JABBのGeneral MIDI互換ドラムキットはFinaleの〔リズムパターンの追加〕プラグインにも対応しています。 逆に、新規ファイルを作成する場合で、Finaleのプラグインを使う予定がなく、かつ、Finaleのソフトシンセ(または別のGeneral MIDI対応デバイス)との互換性を保つ必要がない場合は、JABBの(GM非互換の)Classic Jazz Drum KitとFusion Drum Kitの方が役立ちます。この2つのドラムキットは、General MIDIキットにないサンプルを多数収録しています。

一般的なジャズ譜では、ドラム譜は完全な楽譜として表記せず、代わりにスラッシュで拍を表記し、重要なリズムパターンのみを五線上に音符で指定します。よく寄せられる質問に「スラッシュとガイド音符を表示したドラム譜と、プレイバック専用の非表示の音符とを組み合わせて、スコア譜のドラムパートを正しく記譜しながら、かつ正しい音でプレイバックするにはどうしたらよいか」という質問があります。よく使われる方法は、プレイバック専用のドラムパートを別途作成して、最適化を実行してページ表示では非表示にし、スクロール表示でのみ表示させるという方法です。別の方法として、同じパートにスラッシュ表記、五線上のガイド音符、プレイバック用の音符を混在させることもできます。手順は次のとおりです。

〔リズムパターンの追加〕プラグインを使って音符を入力した場合は、入力後に〔スコア・マネージャー〕ウィンドウを開き、ドラムパートのチャンネル設定が変わっていないことを確認してください。また、〔リズムパターンの追加〕プラグインを実行すると、楽譜に非表示の発想記号「HP off」が追加されます(Human Playbackを無効にする発想記号です)。しかし、Human Playbackを完全にオフにするのでなく、Human Playbackに既存のMIDIデータを反映させるようにした方が効果的です。Human PlaybackにMIDIデータの情報を反映させるには、〔Human Playbackの初期設定〕ダイアログボックスの〔MIDIデータ〕画面で該当項目を選択します。

〔リズムパターンの追加〕プラグインを使う場合に実行できる他のオプションとしては、ドラムパート以外の五線を1つずつ選択して、〔Human Playbackの部分適用〕プラグインを起動するやり方もあります。

〔省略の記譜法〕ダイアログボックスで、下の図のように設定します。

このレイヤー設定は楽譜全体に適用されます。レイヤー4にガイド音符でない音符が含まれていても、上の図のように設定したあとはプレイバックに反映されません。

ガイド音符の入力に適した音高は、GM互換のドラムキットを選択した場合は中央Cの下のD、GM非互換のドラムキットを選択した場合は中央Cの下のCです。なお、ガイド音符のプレイバック用の音は何でもかまいません。実際に楽譜をプレイバックするときは、ガイド音符の音はいっさい鳴らないからです。ガイド音符を五線の第5線でなく上第1間に表示する場合は、〔パーカッション・マップ作成〕ダイアログボックスでガイド音符に使う音符の〔五線上の位置〕を調整できます。

ブラシ奏法とJABB

JABBのブラシドラムキットはブラシ奏法のリアルなサウンドをサポートしています(ブラシ奏法とは、2本のワイヤブラシを円形に動かしながらスネアドラムヘッドにこすりつけて音を出す奏法です)。基本的なブラシサウンドはMIDIノート#37(中央のCより1オクターブと長7度下のC#)でトリガーします。こする方向の変更はアフタータッチでトリガーするので、アフタータッチを識別するキーボードが必要になります。アフタータッチの圧力が軽ければ方向が少しだけ変化し、重ければ明確、強烈に方向が変化します。

Finale 2012のHuman Playbackは、JABBのブラシドラムキットを使用した場合の方向の自動変更に対応していません。この機能を利用するには、アフタータッチを識別するキーボード、またはアフタータッチデータを送信するスライダーかノブの付いたキーボードを使って、ブラシ奏法をリアルタイム入力する必要があります。この方法で作成した楽譜をプレイバックする場合は、〔Human Playbackの初期設定〕ダイアログボックス〔MIDIデータ〕画面で〔連続的データ〕を〔既存の情報を加味〕に設定してください。

ブラシ奏法は専用の別レイヤーにレコーディングすることをおすすめします。この機能の詳細は、Northern Sounds ForumのJABB Brush Stirs Tutorialをご参照ください。

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