現在地:Finale 2012 チュートリアル > GPOとHuman Playbackのチュートリアル > Player Variations

Garritanインストゥルメントのバリエーション

Garritan Personal Orchestraでは、同じ楽器にいくつかのバリエーションが用意されています。例えば、同じ楽器名に「Player 1」、「Player 2」、「Solo」などのオプションが付いています。ここでは、これらのオプションの違いと、楽曲に応じた選択方法について説明します。

五線名について

Garritanインストゥルメントの説明の前に、Finaleの楽譜に表示される五線名について注意を述べます。Finaleのセットアップ・ウィザードでGarritanインストゥルメントライブラリ(Garritan Personal Orchestra、Garritan Personal Orchestra Finale Edition、Garritan Jazz and Big Band)のいずれかを選んだとき、五線名でなく楽器を選択していることに注意してください。セットアップ・ウィザードの設定が完了すると、楽譜には「Violin」のようなパート名(五線名)が表示されます。これは、楽譜に「Violin 2 Strad KS Solo」のような楽器名をそのまま表示するのは適当でないと考えられるためです。セットアップ・ウィザードが自動で割り当てた五線名を変更したい場合は、あとから自分の好きな名前に変更できます。

プレーヤー楽器同士の違い

同じ種類の複数の楽器を使用する楽譜では、プレーヤー楽器(Flute Player 1、Flute Player 2、Flute Player 3など)を使うのが最適です。例えば、楽譜に3つのフルートパートがある場合は、Flute 1用の五線(またはレイヤー)にFlute Player 1、Flute 2用の五線(またはレイヤー)にFlute Player 2、Flute 3用の五線(またはレイヤー)にFlute Player 3を指定します。Flute Player 1, 2, 3は1つのフルートセクションで一緒に使うことを想定して作られており、音色とイントネーションがわずかに異なります。このためユニゾンのフレーズなどは、1本のフルートで演奏しているのでなく、本物のユニゾンのように聞こえます。

プレーヤー楽器とソロ楽器の違い

Garritanのソロ楽器(Piccolo Solo、Flute Solo、Oboe Soloなど)は、同じ種類の楽器が1つしかない楽曲を想定して作られています。例えば管楽五重奏の楽曲では、通常はFlute Solo、Oboe Solo、Bb Clarinet Solo、Bassoon Solo、French Horn Soloを選択することになります。ソロ楽器はプレーヤー楽器より多くのメモリを使用します。これは、ソロ楽器の大部分のノートが個別のサンプリング音(各ノートを録音した音)であるためです。これに対して、プレーヤー楽器はソロ楽器をベースに作られているので、ソロ楽器で使われているサンプリング音の一部しか含まれていません(プレーヤー楽器が演奏するノートのサンプリング音がないとき、一番近いサンプリング音をピッチを変えて使っています。この処理は自動でおこなわれるので、ユーザー側の操作は不要です)。加えて、プレーヤー楽器はそれぞれ別のサンプリング音をベースにしています。つまり、Player 1、Player 2、Player 3...の間で同じサンプリング音を共有することはありません。本物のユニゾンのように聞こえるのは、このためです。3つのプレーヤー楽器が同じ音符を演奏するとき、それぞれ別のサンプリング音を使用するため、3人の奏者が演奏しているように聞こえます。しかしながら、各プレーヤー楽器は同じソロ楽器から派生して作られているので、同じ楽曲の同じ楽器にソロ楽器とプレーヤー楽器が混在しないようにする必要があります。楽譜に書かれている同じ種類の楽器(例えばフルート)が1つだけであれば、ソロ楽器(Flute Solo)を選択するのがベストです。楽譜に同じ種類の複数の楽器が指定されていれば、プレーヤー楽器(Flute Player 1、Flute Player 2など)を選択してください。

ソロ楽器とプレーヤー楽器の間には他にも違いがあります。特にFlute Soloについて言えることですが、ソロ楽器はソリスト的な音色を備えています。Flute Soloの場合、Flute Playerと比べてビブラートが明瞭で、豊かな表現力を持っています。ポリフォニーの最大値にも違いがあります。管楽器のソロはポリフォニーの最大値が1に設定されています。ポリフォニーについてはコンピュータリソースを効率よく使うためのヒントをご参照ください。

楽器1、楽器2...の違い

GPO製品版は、同じ楽器名のいくつかのバリエーションがあります。上述したように、プレーヤー楽器はソロ楽器から派生して作られています(例えば、Bb Clarinet Player 1、Bb Clarinet Player 2、Bb Clarinet Player 3はBb Clarinet Soloをベースにしています)。

これに対して、楽器間のバリエーションは、文字通り複数の楽器から取得したサンプリング音です(通常はメーカー、演奏者ともに異なります)。すわなち、プレーヤー楽器1、2、3...より、楽器1、2、3...の方が音色の違いがはっきりしています(楽器1、2、3...の間で音域が異なるものもあります。GPO製品版のBass Trombone 1 SoloとBass Trombone 2 Soloを比べてみてください)。例えば、GPO製品版のバスーンは、大きく分けてBassoon 1とBassoon 2があり、Bassoon 1 Soloをベースにしたプレーヤー楽器(Bassoon 1 Player 1、Bassoon 1 Player 2、Bassoon 1 Player 3)と、Bassoon 2 Soloをベースにしたプレーヤー楽器(Bassoon 2 Player 1、Bassoon 2 Player 2、Bassoon 2 Player 3)があります。Bassoon 1ベースとBassoon 2ベースでは楽器の音が大きく異なります。GPO製品版で同様のバリエーションを持つ楽器は、オーボエ、イングリッシュホルン、コントラバスーン、ホルン、トランペット、バストロンボーン、チューバ、ハープ、およびバイオリンです。

キースイッチ付き楽器

キースイッチ付きの楽器は楽器名の後ろに「KS」が付いています。キースイッチ付きの楽器は複数のサンプルセットを持ち、楽器やチャンネルを切り替えることなく複数の奏法を演奏することができます。詳しくはキースイッチをご参照ください。

Note. キースイッチ付き楽器はキースイッチなしの楽器より大量のメモリを必要とする点に注意してください。

同じ楽器名でキースイッチ付き版があるときは、通常はキースイッチ付きの楽器を選択することになります。キースイッチ付きでない方の楽器を選択すると、pizz.、arco.などHuman Playbackが自動で認識する奏法の多くが無効になります。例えば、Viola Solo KSとViola SoloではViola Solo KSを選択し、Cellos KSとCellos ArcoではCellos KSを選択するのが一般的です。Garritan Instruments for Finaleの場合、キースイッチ版があるのはハープ、ティンパニ、弦楽器(単音弦楽器と重奏弦楽器)だけです。

GPO製品版は、これに加えて金管楽器と一部のパーカッション楽器にもキースイッチ版があります。JABBはトランペットとトロンボーンの全楽器にキースイッチ版があります。詳しくはキースイッチをご参照ください。

楽器のLite版

JABBのみ楽器のLite版があります。JABBの各楽器は、GPOやGarritan Instruments for Finaleと比べて非常に多くのシステムリソース(処理能力)を必要とすることから、JABB楽器の高度な機能(フラッタータンギングなど)を省いてRAM使用量を少なくするLite版が用意されています。JABBのフルサイズ版を使っていてプレイバックに問題があるときは、Lite版を使用してください。Lite版とフルサイズ版を混在して使うこともできます。例えば、ソロパートにはフルサイズ版を割り当て、アンサンブルパートにはLite版を割り当てる、といった使い方ができます。Lite版を使うときは「Notation」フォルダ内の楽器だけを使用してください。他のフォルダのLite版は使わないでください。

楽器の選択

ソロ楽器、プレーヤー楽器、同じ楽器のバリエーション、キースイッチ付き楽器、Lite版楽器について説明したので、今度は、それぞれの楽譜に合った楽器の選択方法について説明します。

Garritan Instruments for Finale

Garritan Instruments for FinaleはGPO製品版より選択肢が少ないので、比較的簡単に選択できます。一般的なガイドラインを以下に示します。

GPO製品版

GPO製品版には、Garritan Instruments for Finaleにない楽器が多数追加されています。GPO製品版で楽器を適切に選択するためのヒントをいくつか紹介します。

JABB

同じ楽曲でGPO楽器を重複使用する

Garritan Instruments for FinaleとGPO製品版には多くの様々な楽器が収録されていますが、場合によっては、同じ楽曲で同じGPO楽器を複数回使用することもあります。一般に、次のような場合に同じGPO楽器を使うことになります。

このほかにも、同じ楽曲でGPO楽器を重複して使用するケースが多数存在します。GPO楽器の重複使用は避けるのがベストですが、上記のように、使わざるを得ない状況が発生することがあります。そうした状況で最善の対処をするには、セットアップ・ウィザードの2ページ目にある〔1パートごとに個別のチャンネルを割り当てる〕を選択してください(もともと効果的なオプションですが、楽器を重複使用するときは、このオプションを選択することが特に重要です)。

それから、各楽器に異なるパンニング値を設定してください。この設定はセットアップ・ウィザードで自動処理されますが、独自にパンニング値を設定したい場合は、「ミキサーとスタジオ表示」の手順をご参照ください。各楽器のパンニング値を変えることによって、ステレオの左右位置が少しずつ分離します。

Tip. 明瞭なユニゾンにするためKontakt Playerを使って各楽器のチューニングをわずかにずらすことも考えられますが、深刻なフェージングの問題が発生しやすくなるので、この方法はおすすめできません。

前へ 次へ 

 

 

User Manual Home