VSTプレイバックとMIDIプレイバックの違い
ここでは、サンプリング処理やデジタルオーディオアプリケーションの操作を始めたばかりの人を対象に、FinaleでのGarritan楽器の演奏に関連するいくつかの用語について説明します。
VSTとGPO
「VST」(Virtual Studio Technologyの略)は、Steigberg(デジタルオーディオアプリケーションCubaseの開発元)が開発したオーディオプラグイン規格です。Audio Unitsプラグインと同様に、VSTプラグインもVSTをサポートするすべてのオーディオアプリケーションで使用でき、仮想楽器、エフェクトなどの機能を提供します。
GPOは、VSTの両方に対応しています。Finale 2012は、このオーディオプラグインを活用する設計になっているので、仮想楽器(Garritanインストゥルメントなど)をFinaleに読み込み、他のアプリケーションを使わずにFinale上で直接エフェクト(Ambience Reverbなど)を適用することができます。
このほかにも、VST対応の各種サンプラー、シンセ、エフェクト、楽器をFinaleで使用できます。詳しくはFinaleのWebサイトをご参照ください。他のAU/VST対応楽器とGarritan Instruments for Finale、GPO製品版、JABBの楽器とを組み合わせて使用することも可能です。ただし1つだけ注意すべきことは、AU/VSTの各楽器ライブラリを個別のバンクに読み込む必要があることです(Kontakt Player 2用にアップデートされた楽器を除く)。バンクの詳細はチャンネルをご参照ください。
VSTとMIDI
〔プレイバックにVSTを使用〕を選択すると、通常のMIDIプレイバック(SmartMusicソフトシンセを使ったプレイバックなど)および外部デバイスへのMIDI送信が無効になります。すなわち、外部のシンセサイザー/サウンドカードから取得したサウンドや、ソフトウェアのサウンドフォント(SmartMusicソフトシンセなど)と、Garritanインストゥルメントとを混合することはできなくなります。標準のMIDIプレイバックかVSTプレイバックのどちらか一方しか選択できません。
では、楽譜に指定されている楽器がVSTインストゥルメントライブラリに収録されていない場合はどうしたらよいでしょうか。その解決策をいくつか紹介します。
- 代わりの楽器を使う。目的の楽器の代わりになる最良の楽器を使って該当パートを演奏します。例えば楽譜にソプラノサキソホンが指定されていて、JABBを所有していない場合は、Garritan Instruments for Finaleのオーボエかクラリネットで代用できないか検討します。
- 目的の楽器を収録したサードパーティ製の楽器ライブラリを購入する。オーケストラ曲の楽譜を大量に作成するような場合は、GPOの製品版にアップグレードすると、今より豊富な種類のオーケストラ楽器を使用できます(Garritan Instruments for Finaleのユーザーなら割引価格でGPO製品版にアップグレードできます)。ジャズやポップスの作曲、編曲を手がける人は、Garritan Jazz and Big Band(JABB)ライブラリを入手されるとよいと思われます。世界各国の音楽で使われる楽器を必要とする場合は、サードパーティ製のサンプルライブラリを購入するとよいでしょう。〔VST/Audio Unitsプラグインの管理〕ダイアログボックスを開くと、Finaleで使用できるVST/AUプラグインの一覧を確認できます。
- Finale対応のソフトウェアサンプラーを購入する。Native Instrumentsの製品版ソフトウェア「Kontakt 2」も、VSTプラグインとしてFinaleに直接読み込んで使用できます。その上、Kontakt Playerとは違って、サウンドフォント(FinaleのSmartMusicソフトシンセなど)をはじめ、様々なサウンドフォーマットの楽器をインポートすることができます。この方法なら、サウンドフォント楽器とGarritanインストゥルメントを同時に使用でき、直接Finaleとは互換性がない楽器ライブラリのインポートも可能です。
- Garritan Studioを使用する。この解決策はGPO製品版かJABBを所有しているユーザーだけが対象です。Garritan Studioは、外部MIDIデバイスのように機能するホストアプリケーションです。Finale上でVSTのプレイバックを実行する方法の方が簡単ですが、Garritan Studioを使うと、GPO楽器と外部MIDIデバイス(ハードウェアシンセサイザー、サウンドカードなど)を組み合わせたり、GPOインストゥルメントとMIDI対応ソフトウェアシンセサイザーと組み合わせて使用することが可能です。詳しくは、Garritanインストゥルメントライブラリに付属のマニュアルをご参照ください。
- 複数のオーディオファイルを結合する。この解決策はソフトウェアシンセサイザー(FinaleのSmartMusicソフトシンセなど)を使う場合のみ機能します。Garritanインストゥルメントを使用したオーディオファイルと、Garritan以外のインストゥルメントを使用したオーディオファイルの2つのファイルを作成します。ファイルが準備できたら、Audacityなどのマルチトラックオーディオエディタで2つのファイルを結合します。詳しくはオーディオをご参照ください。