調号

概要を動画でご覧いただけます。クイックスタートビデオ：調号を変更する

調号ツールを選択し、調号を変更する小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示されます。
上下の矢印をクリックして希望する調号を選びます。上の矢印をクリックするとシャープが増え、下の矢印をクリックするとフラットが増えます。特殊な調号を作成したい場合は、ドロップダウンメニューから〔特殊〕を選択します。
〔変更する小節範囲：＿＿小節目から＿＿小節目まで〕（または＿＿小節目から曲の終わりまで、＿＿小節目から次の転調まで）の各テキストボックスで、調号の変更を適用する小節の範囲を指定します。
〔移調設定〕のオプションを指定します。これらの選択肢は、楽譜の無調部分には影響しません。
- 〔既存の音符を移調〕は、既存の音符を新しい調号に合わせて移調します。ドロップダウンメニューから〔上向き〕か〔下向き〕を選択して、移調の方向を指定します。〔範囲内でさらに転調する場合、その関係を維持〕を選択すると、変更範囲の中でさらに転調する部分が含まれていても、その関係は維持されたまま全体が移調されます。
- 〔既存の音符はその音程を維持〕は、各音符を元の絶対的ピッチに維持して、必要に応じて変化記号を調整します。
- 〔五線上の音符の位置を動かさずに変化記号を適用〕は、変化記号を調整せずに、既存の音符を元の線上位置または線間位置に維持します。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。

Finaleはシャープやフラットを含まない長音階、つまりC Major（ハ長調）をデフォルトの調としています。主音はC（ド）になります。しかし短調ではCで始まる音階は3つのフラットを含みます。シャープやフラットのない音階（A minor＝イ短調）では、Cは主音ではありません。

このことは以下の作業で大きな違いをもたらします。まず、コードネームを作成する際、〔コード定義〕ダイアログボックスでの対応が正確になります（例えば、A minor（イ短調）でのAmのコードは1度として処理されます）。次に、〔リアルタイム入力〕を使用して編曲しようとする際、臨時記号が正確に処理されます。例えば、イ短調ではGとAの間の音符はGと表記されます（ハ長調ではAと表記されます）。

調号ツールを選択して、短調を適用したい部分の小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示されます。
ドロップダウンメニューから〔短調〕を選択します。
スクロールバーを使って、調を選択します。Aマイナー（イ短調）を選択する場合、デフォルトの調号設定を変更する必要はありません。
調号を変更させたい範囲の小節を指定します。
〔移調の設定〕のオプションを指定します。
- 〔既存の音符を移調〕は、既存の音符を新しい調号に合わせて移調します。〔既存の音符を移調〕を選択した場合は、ドロップダウンメニューから〔上向き〕か〔下向き〕を選択して移調の方向を指定します。
- 〔既存の音符はその音程を維持〕（異名同音で書き換え）は、必要に応じて変化記号の表記を調整します（例えば、ホ長調のGは変ホ長調でAになります）。
- 〔既存の音符はその音程を維持〕（元の変化記号を維持）は、各音符を元の絶対的ピッチに維持して、音符の元の表記のままにします（例えば、ホ長調のG音は、変ホ長調に転調してもGのまま表記されます）。
- 〔五線上の音符の位置を動かさずに変化記号を適用〕は、新しい変化記号を使用せずに、既存の音符を元の線上位置または線間位置に維持します。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。

任意の小節へ強制的に調号を表示させるには

一般の楽譜では調号は段の左端か、または転調がおこなわれる最初の小節に表示されます。しかし、以下の操作によって、任意の場所に調号を表示させることができます。

小節ツールを選択して、調号を強制表示させたい小節の小節線ハンドルをダブルクリックします。〔小節の属性〕ダイアログボックスが表示されます。
〔調号〕 ドロップダウンメニューから、〔つねに表示する〕を選択します。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。逆に〔つねに表示しない〕を選択すれば、調号が表示されなければならない小節でも調号を隠すことができます。

個別に調号を隠すには

一般の楽譜では各段の初めに調号が表示されます。Finaleでは通常は調号が表示される小節に対しても、個別にこの調号を隠すことができます。実際に調号のない楽譜にするには、無調の楽譜をご参照ください。

小節ツールを選択し、調号を隠す小節の小節線ハンドルをダブルクリックします。通常、これは段の最初の小節を指しています。この手順は印刷をする直前におこなってください。小節のレイアウトが変更されて、調号が隠された小節が組段の最初の位置から動いてしまうのを防ぐためです。〔小節の属性〕ダイアログボックスが表示されます。
〔調号〕 ドロップダウンメニューから、〔つねに表示しない〕を選択します。
逆に〔つねに表示する〕オプションを使用して、通常は調号が表示されない小節に調号を強制的に表示させることもできます（「任意の小節へ強制的に調号を表示させるには」をご参照ください）。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。

ヒント: 曲の最初の段にのみ調号を表示させることもできます。ファイル別オプション－調号をご参照ください。

それぞれの五線に異なる調号を設定するには

それぞれの五線が異なる調号をもつ楽譜を作成することもできます。複数の調号が同時に存在するということは、移調楽器の設定をするということとは異なります。移調楽器の取り扱いについては、移調楽器をご参照ください。

五線ツールを選択し、独立して調号を設定する先頭五線をダブルクリックします。選択した五線の〔五線の属性〕ダイアログボックスが表示されます。
〔独立した設定〕の下の〔調号〕を選択します。
独立した調号にする各五線について、この手順を繰り返します。
複数の五線を編集したい場合は、〔五線の属性〕ダイアログボックスを閉じずに、ダイアログボックスのドロップダウンメニューから次の五線を選択してください。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。楽譜上に戻ります。〔調号〕ツールをクリックすると、独立した調号を持つようにした五線のそれぞれの小節にハンドルが表示されます。
“独立した調号”が適用されている五線の調号を変更するには、調号ツールを選択して、その五線の小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示され、通常の方法で調号を設定できます。

ファイル全体に渡って調号の予告を隠すには

〔書類〕メニューから〔ファイル別オプション〕を選択し、〔調号〕を選択します。〔ファイル別オプション－調号〕ダイアログボックスが表示されます。
〔段末に調号の予告を表示〕の選択を解除します。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。

個別に調号の予告を隠すには

個別にまたは特定の範囲に渡って、調号や拍子記号を隠したい場合があります。例えば1ページにいくつもの譜例を並べている場合は、新しい譜例が異なる調で始まるときに直前の段末に新しい調号を表記する必要はありません。ここでは、個別に調号の予告を隠す方法を紹介します。

小節ツールを選択して、空白小節の小節線ハンドルをダブルクリックします。〔小節の属性〕ダイアログボックスが表示されます。
〔段末の音部記号、調号、拍子記号の予告を隠す〕を選択します。
〔OK〕をクリックします。

調号の予告に別の調号を使用するには

ごくまれに（例えばコーダ・パートの冒頭で転調している場合など）、調号の予告に、次の段の冒頭とは別の調号を表示する必要が生じることがあります。そのような場合は以下の手順に従ってください。

小節ツールを選択します。次の段の最初の小節を選択します。
〔編集〕メニューから〔小節ブロックを挿入〕を選択します。〔小節の挿入〕ダイアログボックスが表示されます。「1」のまま〔OK〕をクリックします。
調号ツールを選択して、小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示されます。
調号の予告として表示させたい調号を指定します。詳しくは調号をご参照ください。適用範囲として、この小節1小節のみが選択されていることを確認して、〔OK〕をクリックします。
五線ツールを選択します。〔五線〕メニューが表示されます。
すべての五線（パート）の、その小節を選択します。複数の五線を簡単に選択する方法については、楽譜の選択をご参照ください。
〔五線〕メニューから〔楽譜スタイルの適用〕を選択します。〔スコア譜とパート譜〕、〔編集中のパート譜/スコア譜〕のどちらかを選択します。または、選択範囲上で右クリックしてコンテクストメニューから〔楽譜スタイルの適用〕を選択してもかまいません。〔楽譜スタイル適用〕ダイアログボックスが表示されます。
ドロップダウンメニューから〔空白の小節：レイヤー1〕を選択し〔OK〕をクリックします。デフォルトの休符が消えます。
小節ツールを選択して、小節をダブルクリックします。〔小節の属性〕ダイアログボックスが表示されます。
〔小節線〕の〔なし〕を選択し、〔表示〕の下の〔小節幅＿＿に変更〕を選択して「0」と入力し、〔段末の音部記号、調号、拍子記号の予告を隠す〕を選択します。〔オプション〕の下の〔小節番号にカウントする〕の選択を解除します。
〔OK〕をクリックします。

特殊な調号を作成するには

変則的な調性の設定は技術的にかなり複雑であるため、ここでは、仮定の楽譜を用いて順を追って手順を説明します。サンプルとして、Gハーモニックマイナー（B, E, F）の調号の設定方法を紹介します。

調号ツールを選択し、調号を変更する小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示されます。
スクロールバーの隣にあるドロップダウンメニューから〔特殊〕を選択します。〔特殊な調号〕ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスの中央に、特殊な調号の種類として、規則的か変則的かを指定するラジオボタンがあります。
〔規則的な調体系〕または〔変則的な調性〕を選択します。〔次へ〕を2回をクリックして、編集可能な調号に進んでください。最初の2つは長調と短調の調体系です（変更できません）。
- 規則的な調体系の音階は全音と半音の規則的な繰り返しによって構成されます。例えば、一般的な長音階は規則的な調体系です。Finaleでは、これを規則的な調体系0と設定しています。〔次へ〕をクリックすると、規則的な調体系1が選択されます。これは一般的な短音階です。この調体系ではドではなく、ラが調の主音となります。これらの2つの調体系は定義済みであるため、〔オクターブ〕と〔属性〕アイコン以外は選択できません。調体系2以上を選択すると、5つのアイコンすべてが選択可能になります。規則的な調体系の調号は五度圏に依るものでなくてもかまいません。例えば、六度圏の調体系を作成することもできます。それぞれの調号の音階が全音と半音の同じ繰り返しで構成され、音階の上半分と下半分が一連の全音と半音の同じ繰り返しであれば、規則的な調体系となります。
- 変則的な調性は音階の規則がないものをいいます。規則的な調体系では調号間に関連性がありますが、変則的な調性には関連性がありません。変則的な調体系では、音階のどの音符にもシャープとフラットをつけることができ、その位置付けに規則性は必要ありません。

〔キーマップ〕アイコンをクリックして、その音階の全音と半音の数を指定します。〔キー・ステップ・マップ〕ダイアログボックスが表示され、1オクターブ内の音数を指定したり、全音・半音が何ステップになるかを指定したりできます。作成した調号のプレイバックに関する情報もここで設定されます。その調号で使用する全音階数を選択して、〔音階の総数〕の下にあるボタンで、音の並び方（キー・マップ）を指定します。スケールに含まれる音は白、スケール外の音は黒に設定してください。今回サンプルとする“B

、E

、F

”という調号では、〔音階の総数〕は“12”となり、キー・マップは以下のようになります。

音符	白/黒
C（スケール音）	白
C/D（スケール外）	黒
D （スケール音）	白
D/E （スケール音）	白
E （スケール外）	黒
F （スケール外）	黒
F/G （スケール音）	白
G （スケール音）	白
G/A （スケール外）	黒
A （スケール音）	白
A/B （スケール音）	白
B （スケール外）	黒

詳しくは、キー・ステップ・マップダイアログボックスをご参照ください。

〔順序配置〕アイコンをクリックして各調号の変化記号の順序を指定します。このアイコンをクリックすると〔変化記号の順序と配置〕ダイアログボックスが開き、新しい調号で表示する変化記号の種類や、その記号の配置を指定できます。〔ユニット〕の右に表示されている番号は、五線上に調号（変化記号）が表示される順番です。例えば、変ホ長調では、1番＝B、2番＝E、3番＝Aとなります。〔変化記号を付ける位置〕は、中央ドからのステップ（1ステップ＝2度音程）数を表します。例えばBの位置では、「6」となります。〔変化記号の種類〕は、〔変化記号を付ける位置〕で指定したピッチを、半音単位でどれだけ変化させるかを指定します。例えば、フラットさせる場合は「-1」、シャープさせる場合は「+1」となり、変化させない場合は「0」になります。〔次へ〕〔戻る〕ボタンで前後のユニット（順番）に切り替えることができます。シャープやフラットを付けないユニットでは〔変化記号の種類〕に「0」を入力します。今回サンプルとする“B、E、F”という調号では、以下のようになります。
ユニット変化記号を付ける位置変化記号の種類
1: B 6 -1
2: E 2 -1
3: F 3 1
4: C 0 0
4: D 1 0
4: G 4 0
4: A 5 0
詳しくは変化記号の順序と配置ダイアログボックスをご参照ください。
〔主音〕アイコンをクリックして、各調号の主音の設定（ルート）を指定します。〔主音の設定〕ダイアログボックスが表示され、それぞれの新しい“調”を新しい変化記号の表示と関連付けます。この設定は、〔変則的な調性〕の設定時にのみ適用されます。詳しくは主音の設定ダイアログボックスをご参照ください。
〔オクターブ〕アイコンをクリックして、各変化記号が表示されるオクターブを指定します。〔変化記号のオクターブ位置〕ダイアログボックスが表示されるので、それぞれの音部記号に対して各変化記号を表示させたいオクターブ位置を指定します。〔次へ〕〔戻る〕のボタンをクリックして、編集したい変化記号を選択してください。今回サンプルとする“B、E、F”という調号では、以下のようになります。
ユニットオクターブ（音部記号0－ト音記号）オクターブ（音部記号3－ヘ音記号）
1: B 0 -2
2: E 1 -1
3: F 1 -1
詳しくは、変化記号のオクターブ位置ダイアログボックスをご参照ください。
〔属性〕アイコンをクリックし、通常のシャープやフラットの代わりに使用するフォントやキャラクタを選択します。〔調の属性〕ダイアログボックスが表示され、調性に関する様々な属性を設定できます。例えば、通常のシャープやフラットの代わりに使用する特殊なキャラクタを選択できます。詳細については、調の属性ダイアログボックスをご参照ください。）
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。〔調号〕ダイアログボックスに戻ります。
移調する小節の範囲を指定します。詳しくは調号をご参照ください。
〔OK〕をクリックします。

ユニット	変化記号を付ける位置	変化記号の種類
1: B	6	-1
2: E	2	-1
3: F	3	1
4: C	0	0
4: D	1	0
4: G	4	0
4: A	5	0

ユニット	オクターブ（音部記号0－ト音記号）	オクターブ（音部記号3－ヘ音記号）
1: B	0	-2
2: E	1	-1
3: F	1	-1

4分音の音階や調号を作成するには

以下の手順により、臨時記号や調号に、必要に応じて4分音の記号が使用されます。プレイバックに4分音を反映させるには、「プレイバックに4分音を反映させる発想記号を定義する」をご参照ください。

調号ツールを選択します。
小節をダブルクリックします。〔調号〕ダイアログボックスが表示されます。
スクロールバーの隣にあるドロップダウンメニューから〔特殊〕を選択します。〔特殊な調号〕ダイアログボックスが表示されます。
〔規則的な調体系〕が選択されていることを確認し、規則的な調体系2が表示されるまで〔次へ〕ボタンを押しつづけます。最初の2つの調体系はすでに一般的な長調と短調に設定されています。調体系2以降を選択すると5つのアイコンが有効になります。
〔属性〕ボタンをクリックします。〔調の属性〕ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスから、4分音のシャープとフラットに使用するフォントとキャラクタを指定します。
〔変化記号のフォント〕ボタンをクリックします。〔フォント〕ダイアログボックスが表示されるので、通常の記譜用フォントに含まれない記号を使用する場合はKousaku Percussionなどの使用したい記号を含むフォントを指定します。
〔OK〕をクリックします。いずれの場合も〔特殊な調号〕ダイアログボックスへ戻ります。
〔変化記号リスト番号〕ボタンをクリックします。〔変化記号リスト〕ダイアログボックスで、どの4分音記号にどのキャラクタを使用するかを指定します。
〔変化量〕に値を入力します。〔変化量〕の値は、新しい記号に割り当てる半音単位の変化量を表します。例えば、通常ではF#の変化量は1ですが、4分音ではF#の変化量は2となります。負の数字を入力すると半音が下方向に変化します。

〔キャラクタ〕に文字を入力します。〔記号〕ボタンをクリックして、〔キャラクタの選択〕ダイアログボックスから選択するか、キーストロークを使って〔キャラクタ〕の隣に直接入力します。選択肢の一覧を確認するにはキャラクタセットを参照してください。下の表に、Maestro Percussionフォントに適用される一般的な四分音キャラクタを示します。もちろん、任意の記号で代用させることもできます。ただし、テキストボックス内の表示にはシステムフォントが使用されるので、実際に使用する記号とは表示が異なります。例えば、Kousaku Percussionフォントで

記号を入力した場合、テキストボックスには「L」の文字が表示されます。その記号が楽譜上に表示されて初めて正しいキャラクタで表示されます。

変化量	入力するキャラクタ	Kousaku Percussionフォントでのキャラクタ
3	l（小文字のL）
2	m（小文字のM）
1	L （Shift＋L）
0	n（小文字のN）
-1	j （小文字のJ）
-2	b（小文字のB）
-3	J（Shift＋J）

〔OK〕を2回クリックします。〔特殊な調号〕ダイアログボックスに戻ります。
上下の矢印をクリックして希望する調号を選びます。上の矢印をクリックするとシャープが増え、下の矢印をクリックするとフラットが増えます。調号に4分音のキャラクタが表示されます。
〔OK〕をクリックします（またはENTERを押します）。〔調号〕ダイアログボックスに戻ります。
移調する小節の範囲を指定します。詳しくは調号をご参照ください。
〔OK〕をクリックします。楽譜上に戻ります。変化記号が設定されていると、4分音の記号が適切な場所に表示されます。例えば、〔高速ステップ入力〕ツールで、ドの音にカーソルを合わせて＋キーを1回押すと、ドの4分音シャープが表示されます。