パターソン式連桁プラグイン

【このプラグインを使用するには】

〔プラグイン〕メニューから〔音符関連〕〔パターソン・プラグイン〕を選択し、〔パターソン式連桁〕を選択します。

【機能について】

この〔パターソン式連桁〕プラグインは、連桁と符尾の整形をおこないます。連桁の整形機能では、連桁に含まれる符尾の長さおよび連桁の角度を、音符の五線上の位置や連桁に含まれる音符の数などを基にして自動的に調整します。連桁の位置によって五線との間に発生する白い小さなくさび形(細長い三角形)のすき間も解消されます。

符尾の整形機能は、短めの符尾が適用された孤立した音符にのみ適用されます。これらの符尾は一般的に、向きがあえて固定されていたり、音域の広い和音であったり、複声部で表記されているなどの理由により、本来とは逆の方向を向いています。Finaleの通常の設定では杓子定規に通常の符尾と短い符尾を適用させますので、通常の符尾から徐々に短い符尾へ移行する場合などでは、それぞれの符尾がちぐはぐな長さになることがあります。さらに、8分や16分の旗が付いた音符には適用されません。しかし、このプラグインの符尾整形機能を使用すると、旗付きの音符も含め、通常の符尾と短めの符尾の設定をなめらかに適用させることができます(音符に旗が2つ以上つく場合にも適切に長さを調整します)。

連桁の整形機能は、〔連桁の設定〕ダイアログボックスと連携して動作します。このプラグインはつねに〔連桁の設定〕で設定されたFinaleのデフォルト値に基づいて連桁を調整しますが、そのデフォルト値はファイルによって異なります。もっとも顕著な違いは、連桁に一番近い音符が両端以外の場所にある場合に現れます。最終的にはいくつかの連桁は手動で調整する必要がでてくる場合もありますが、このプラグインは、大多数の連桁について調整しなくても済むようにデザインされています。このプラグインの連桁整形機能を使用する際は、〔連桁の設定〕ダイアログボックスを次のように設定しておくことをお薦めします:「符尾の長さを優先」をチェックする、「休符の位置まで連桁を延ばす」をチェックしない、「連桁の最大角度」の値を「6」VPUの倍数に設定する。詳しくはファイル別オプション-連桁をご参照ください。

【サポートされていない機能】

一部の機能はこの〔パターソン式連桁〕プラグインではサポートされていません。符尾や連桁が下記の項目に該当する場合、その符尾や連桁はなにも変更されずにスキップされます。ただし、連桁に関しては、両端の音符が下記の項目に該当しない場合は、効果が適用されます。

  • 装飾音符
  • 拡大縮小された音符
  • 五線をまたいだ表記
  • 符尾が反転している音符
  • 特殊符尾
  • 両端の休符を連桁に含めている場合
  • 符尾重複・分割ツールが適用されている音符

このプラグインは、トレモロ表記などで使用するような伸縮された連桁に対しては、一部の機能のみが適用されます。例えば、一番外側(8分音符)の連桁が、少なくともどちらか一方の符尾と接続されていない場合は、その連桁はスキップされます。またこの場合、効果が適用されるケースでも一部の機能は制限されます。

  • フランス式連桁:適用・解除 フランス式の連桁表記では、連桁で連結されている音符のそれぞれの符尾は、一番外側の音符のものだけが最後まで(8分音符の連桁まで)延び、連桁の内側の音符は、音符に一番近い連桁(32分音符では32分の連桁)までしか符尾を表記しません。この欄の〔適用〕あるいは〔解除〕のボタンを選択すると、〔OK〕をクリックした時にフランス式の連桁が選択範囲に適用、あるいは解除されます。
  • 手動調整を優先する:連桁・符尾 このボックスをチェックすると、〔道具箱〕ツールや他のプラグインにより調整(デフォルト値を変更)された連桁あるいは符尾に対しては、プラグインの効果を適用しなくなります。
  • 連桁の整形 連桁の整形をおこないたい場合は、このボックスをチェックしてください。
  • 連桁の傾きを1スペース以内に制限する このボックスをチェックすると、すべての連桁の傾きを、五線1間分以内に収め、連桁が線間と交差するのを禁止します。このオプションは〔連桁の設定〕ダイアログボックスの〔符尾の長さを優先〕と同様の機能を持ちます。詳しくはファイル別オプション-連桁をご参照ください。
  • 連桁の最大角度:_度・[計測単位] このボックスをチェックすると、最大角度として指定された角度まで連桁を傾けます。このボックスをチェックしない場合は、〔ファイル別オプション〕ダイアログボックスの〔連桁〕欄の〔連桁の最大傾斜度〕の値が適用されます。詳しくはファイル別オプション-連桁をご参照ください。

    このプラグインでは、連桁と五線の間に小さなくさび形(細長い三角形)のすき間ができるのをつねに回避しますので、もしすき間ができてしまう場合は、ここで設定した角度よりも傾きが少なくなることもあります。また、このプラグインでは、最大角度の指定時の単位として〔度〕を選択すると、連桁の角度を、「水平に対して何度勾配がついているか」という実際の角度によって計測します。そのため、スペーシングによって連桁の始点と終点の高低差は異なる場合があります。広くスペーシングされた場合は高低差も大きくなり、狭くスペーシングされた場合は高低差も小さくなります。最大角度を、連桁の始点と終点の高低差(距離)として指定したい場合は、編集 > 計測単位からインチやセンチメートルなどの計測単位を選択してください。

  • 水平な連桁を保つ このボックスをチェックすると、デフォルトの状態で水平になっている連桁に対しては、このプラグインによる角度の変更を適用しなくなります。
  • 3度の音程の連桁は3度分傾ける このボックスをチェックすると、連桁の両端の音符の音程差が3度ある場合に、連桁の傾きも3度分、つまり1間分とします。これにより、音程差と連桁の傾きが一致します。ただし、一般的には、連桁の傾きは両端の音符の音程差よりも少なくとも1/4スペースは小さくします。注:この設定は、他の〔連桁の最大角度〕や〔連桁の傾きを1スペース以内に制限する〕などの設定とぶつかる場合は、そちらが優先されます。
  • 連桁の角度に応じて太さを補正する このオプションをチェックすると、連桁の角度の調整に応じてパターソン式連桁の線幅が太くなります。
  • 五線内の32分音符の連桁の傾きを1/4 スペースにする・傾きが1スペース以下の場合のみ このボックスをチェックすると、32分音符の連桁について、適切な箇所に対して1/4スペース分の傾きを適用します。連桁同士の間隔のデフォルト値が例えば18 EVPUなどになっている場合、1/4スペースというような小さな傾きでは、通常五線との間にすき間ができますが、他の連桁設定を調整することにより、このすき間をなくすことができます。このプラグインでも、すき間は自動的に回避されます。

    〔傾きが1スペース以下の場合のみ〕をチェックすると、五線内の32分音符の連桁が、本来1間分以上傾けるべきである場合は、そのまま傾けるように指示します。〔連桁の傾きを1スペース以内に制限する〕が選択されている場合は1間分以上傾く連桁は存在しませんので、このオプションを選択しても意味がありません。このオプションは、〔32分音符の連桁調整〕を使用して連桁と五線のすき間を回避する際に、角度が十分ついている連桁に対しては調整を適用したくない場合に選択してください。

    連桁が五線と干渉しないようにするために、伝統的な楽譜浄書のルールでは、連桁の傾きが1間分以下の場合に連桁同士の間隔を広げて対処していました。これらの設定はそれを実現するものです。

  • 32分音符の連桁の調整 このボックスをチェックすると〔32分音符の連桁〕ダイアログボックスが表示されます。チェックを外すと、32分音符の連桁に対して連桁の間隔は調整されなくなりますが、設定自体は記憶されますので、もう一度チェックすると設定を有効にすることができます。
  • 64分音符以下の連桁の調整 このボックスをチェックすると〔64分音符以下の連桁〕ダイアログボックスが表示されます。チェックを外すと、64分音符以下の連桁に対して連桁の間隔は調整されなくなりますが、設定自体は記憶されますので、もう一度チェックすると設定を有効にすることができます。
  • 符尾の整形 符尾を整形する場合は、このオプションを選択してください。このオプションを選択しない場合は、「通常の符尾」と「短めの符尾」が、中間値を持たずにいきなり切り替わります。これらの符尾の長さの設定は〔書類〕メニューの〔ファイル別オプション〕の〔楽譜設定〕で設定されています。このオプションを選択した場合、プラグインを実行すると、「通常の符尾」の長さを持つ音符と、「短めの符尾」の長さを持つ音符の間の音符の符尾が、1/4スペースずつ徐々に変化していきます。

  • 逆向き符尾調整の開始位置(第3線=0):上向き・下向き これらの数値は、連桁で連結されていない符尾が、短めの符尾の長さへ切り替わり始めるポイントを指定します。五線の第3線を0とし、半音(2度)を1ステップとして数えます。さらに、上向きと下向き双方の符尾に対して、別々の値を設定できます。

    ヒント: 五線の下にテキストなどが配置されていてスペースがきつい場合は、〔下向き〕の値を0(または1)にしてみてください。例えばト音記号の五線では、これによりB音(第3線上)(またはその上のC音)の符尾が少し短くなります。

  • 16分音符以下の短かめの符尾の長さを別指定する・旗付き16分音符の符尾の長さ このオプションを選択すると、旗が2つ以上付く音符に対して、「短めの符尾」の長さを別に設定することができます。使用している記譜用フォントや旗のスタイルにより、通常の「短めの符尾」の設定では16分音符以下の音符に対して短すぎる場合があります。そこで、このオプションを使用します。このオプションは〔符尾の整形〕がチェックされていなくても有効です。ただしその場合、旗がついた音符の符尾の長さは調整されますが、通常の符尾と短めの符尾をなめらかに切り替える機能は適用されません。

    16分音符に対する短めの符尾の長さの数値をテキストボックスに入力してください。16分音符以下の音符に対しては、旗が1つ増えるごとに長さが1スペース(24EVPU)追加されます。

  • 旗付き8分音符にも適用する・上向き8分音符には適用しない このボックスをチェックすると、16分音符用の短めの符尾の長さが、旗付きの8分音符にも適用されます。使用している記譜用フォントの8分音符の旗のデザインにより、旗付き8分音符の符尾の長さがうまく調整されない場合は、このオプションを選択してみてください。上向きの旗付き8分音符に対しては変更したくない場合は、〔上向き8分音符には適用しない〕をチェックしてください。
  • OK・キャンセル 〔OK〕をクリックする(またはENTERキーを押す)と、設定が確定されます。〔キャンセル〕をクリックすると設定変更は破棄されます。

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